★ “まちなか” の自然も 馬鹿にできない

活動報告

名古屋市内で、”いきもの” にたくさん出会えるのはどこでしょう?
野鳥、チョウ、トンボについて調べてみました。

 陸 鳥 
・名古屋最高峰(198m)東谷山を筆頭に、東山公園庄内緑地大高緑地庄内川河口が上位を占めます(40種以上)。
・これに、他の東部丘陵大・中規模緑地庄内川河川敷緑地が続きます(25種以上)。
・市街地では名城公園鶴舞公園(30種以上)、熱田神宮大江川緑地(25種以上)が主要な拠点。

 小さな拠点と言える10ha未満の市街地公園も概ね20種前後で、丘陵地の10ha未満緑地と同等のポテンシャルを持っています。
 しかし、拠点が相互に離れていることが市街地の弱点です。このため、拠点と拠点の間をつなぐ小さな緑地の “飛び石” が必要です。特に堀川以西は、庄内川のパワーを市街地に呼び込む “飛び石”の強化が期待されます。

 水 鳥 
庄内川河口(45種)を中心に、庄内川下流部新川・日光川河口など藤前干潟周辺が拠点(30種以上)。
・これに、東部丘陵の大きなため池が続きます(20種以上)。
・市街地の拠点は名城公園瑞穂公園・山崎川(20種以上)。

 瑞穂公園・山崎川は、2004-5年調査では9種、2008-9年調査では11種にすぎませんでしたが、近年大きく増加しました。市街地河川も捨てたもんじゃない!と言えます。
 堀川は市街地を貫く水辺の拠点軸ですが、水鳥・陸鳥ともに矢田川よりも多くの種数が見られます。

 チョウ 
・東部丘陵大規模緑地の平和公園東山公園では30数種、中規模緑地の天白公園では20数種を確認しています。
名城公園鶴舞公園瑞穂公園などの市街地公園でも20種前後が見られます。
 白鳥庭園は、1年ごとの平均では17種、累計では32種を確認しています
(継続的な調査と和風バタフライガーデンづくりの成果) → チョウ・マップ(白鳥庭園) / 和風バタフライガーデン
 チョウは、蜜源(成虫のエサ)や食草(幼虫のエサ)があれば、めざとくやってきます。チョウの好きな植物を用意してやれば、”まちなか” の小さな庭やプランターでもチョウの “飛び石”になるのです。

 トンボ 
・東部丘陵大規模緑地の東山公園猪高緑地では30数種を確認しています。
・市街地の鶴舞公園呼続公園大江川緑地など水辺植生の豊かな池では20種前後が見られます。
 白鳥庭園徳川園でも20種前後が安定的に生育しています(白鳥庭園は個体数の多さが特筆されます)。 日本庭園はトンボのオアシス
 水辺植生の乏しい池(中村公園など)では10種強にとどまります。しかし逆に言えば、コンクリートで覆われたまちなかの池でも、10種程度のトンボを呼ぶポテンシャルを十分に持っている!と言えます。そして、水草をちょっと増やしてやれば、やってくるトンボの種数は確実にふえます。近場に樹叢があればさらに好都合です。

 水辺があれば トンボ来る♪ 水草生えれば もっと来る♫ 樹林があれば さらに来る♬

市街地には、大規模な緑地がありません。
このため一見すると、東部丘陵や庄内川に比べていきものが少ないように見えます。
しかし、緑地の規模をそろえて比べてみると…市街地公園のポテンシャルも東部丘陵の里山系緑地と遜色がありません
市街地の自然の課題は、拠点と拠点をつなぐ “飛び石”を増やして生態系のネットワークを強化することです。
白鳥庭園のチョウやトンボのように、
ちょっと意識して “居場所” を用意してやれば、まちなかの小さなスペースでも、立派な “飛び石”になるでしょう。

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